世界的な人口増加や健康志向の高まり等により世界の水産物の需要は増加し、水産資源を巡る獲得競争はさらに激化していくことが予想されます。水産物は日本人にとって重要なタンパク質供給源の一つであり、食料安全保障の観点からも、公海を含む海外漁場における我が国漁船の安定的操業や関連法人の活動を通じて、水産物を安定的に供給していくことが不可欠です。
海外漁場においては、沿岸国との二国間協議や多国間の枠組みにおける協議を通じた海洋水産資源の持続的利用が求められます。しかしながら、各国の利害や環境保護の動きが複雑に絡み合い、その確保に向けての話し合いはますます難しいものとなっています。一方、各国の漁業者には科学的情報に基づく持続的利用の原則に則った国際的な合意の下での責任ある漁業活動が求められています。
このため、IUU漁業を含む資源管理上の課題等の水産情勢や、漁業の量から質への転換・付加価値の創出を含む関係沿岸国の開発のニーズを的確にとらえ、これらにフットワーク良く対応し、責任ある漁業活動の促進に必要な支援を積極的に行います。
同時に、地球環境の保全なくして持続的な漁業開発は実現できません。地球や海への感謝の気持ちを忘れず、地球温暖化の防止や海洋生態系を保全しながら生産力向上を図る取り組みなど、持続可能な社会の実現に貢献する協力・支援を推進し、経済発展と地球環境保全の調和の下での持続可能な漁業の実現を目指します。
これらの推進に際しては、各国が策定する関連戦略や漁業が各国の食料安全保障に果たす役割の重要性を意識しつつ、また、それぞれの地域の自然が持つ多様性と伝統的知識や価値観、地域関係者の意向を尊重しつつ、女性を含む全ての関係者が参画しやすい環境を整備できるよう、長期的な視点から人的及び社会的資本の育成に努めます。
上記事項の実現のため、適格な専門家及び職員を持続的に確保するとともに、財団内での議論や外部との意見交換を積極的に行うことにより新たな知識・スキルを取り入れ、個々人及び組織の能力並びにパフォーマンスの向上を目指します。
(2023年12月)
※定款第3条 (目的) この法人は、海外の地域における水産業の開発、振興等及び国際的な資源管理に資する海外漁業協力事業を行い、もって我が国海外漁場及び漁船の安全操業の確保並びに我が国への水産物の安定的な供給の確保に資することを目的とする。 |